今更ですが、1986年から掲載された富野由悠季さんの小説「オーラバトラー戦記」を読み終えました。(市立図書館で借りました)
1983年に放送された「聖戦士ダンバイン」は低年齢層も観るテレビ作品であり、スポンサーや雑誌媒体への配慮に加え本編の製作時間にも追われていたでしょうから、富野さんが真に描きたい物語ではなかったと思います。
ですから真・ダンバインとも言える本作を読んでみようと思った訳ではありますが、とにかく読みにくい作品でありました。
ダンバインと同じ登場人物、ざっくりとした世界観は承知していたものの、新しく出てくる名称が人物なのか地名なのか、わかり辛い。
そして筆がノッて気持ちが急いちゃったのか、特に空中戦での描写がさっぱりわからないし人物の描写の間に筆者の思想が書かれてたりするので読み辛いこと、この上ありません。
ご存知の通り80年代のロボットプロレスブームを牽引したトップランナーであり、多くの視聴者を魅了する世界を構築された富野さんですが、文章を書き起こすのはもっと上手い方に頼んだ方が良かったのでは…。でも、むかし読んだ「機動戦士ガンダム」は読み辛いことは全く無かったので、やはり固有名詞の問題が大きかったと思われます。
世界観は中世ヨーロッパで、ネットで言われるほどのエログロ描写とは感じません。むしろ現在のマンガやテレビアニメの方がよっぽどエゲツなくて、「ゲーム・オブ・スローンズ」あたりの映像観が近いでしょうか。
さて、読み辛い作品ではありますが、オーラバトラーの構造に関する発想は流石でありました。
基本的にはダンバインと同じですが、全高はテレビより大きいガンダムサイズ(これは大きすぎてテレビの方が好き)、オーラマシンはあれど細部のテクノロジーはまだまだで、強獣の視神経を使ったコクピットのモニターはブラウン管初期の解像度(みたい)。無線は鉱石を使った感度の悪いものだし、電球もようやく浸透した程度です。オーバーとローテクの混在がなんとも心地よいです。
最初期の人型オーラマシン カットグラ。挿絵のイメージで。
巻数で言うとまるっきしファンタジーの1・2巻はオーラマシンもテレビで言うドロしか登場しないので、3巻以降、地上界のあたりが面白かったです。
読み難い物語ではありましたが、機会があればもう一度手に取っても良い作品でありました。
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