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20120414

死は必然か。

最近観た作品でどうにも気になることが。

SPACE BATTLESHIP ヤマト
テレビ放映を観ました…途中から倍速で…。

 おおよそのあらすじはわかっていたので実写映画版ならではの演出が必要でしたが、
木村拓哉さん演ずる古代進が特攻して終わり(お決まりのエピローグ付き)。
途中、森雪を助けるために全人類を危機にさらす古代の身勝手さにも恐れ入りました。
リアリティを重視するのかマンガに徹するのかが中途半端です。
 マンガ思考では「大勢の命も一人の命も同じ」とか言うんだけれど、それはあくまでも個人の思考にあって成立するもの。誰もが世界中の誰よりも肉親や恋人が大事、と思う心は尊いと思いますが、地球の危機にその選択は無いでしょう。
 戦闘機のフワフワした描写もいまひとつ。無重力空間ではそうなるのかも知れませんが、映画ならではの重厚な画面づくりが欲しかった。
もひとつ言えばロボットに変形するコスモゼロ、カッコ悪かった…。ムシみたいなデスラー艦隊は賛否分かれるところですが否の方が圧倒的に多いよねえ。
 ヤマチョ自体も登場人物たちの「容れもの」に過ぎず、一見細かく見えるCGの描写もCMレベルでした。時々模型雑誌をパラパラと立ち読みするのだけれど、ヤマチョの立体物に関していえば素晴らしい表現力をもった方が大勢いたような気がします。そんな皆さんの力を借りてもよかったのでは…。

悪いところばかり書いてしまいましたが、良いことも。

 「古代くん」じゃなくて相変わらず「木村くん」でしたが、木村拓哉さんはやはりカッコイイ。画になるし、制服デザインもライダースで実にカッコ良かった。西田敏行さんも似合っていたからね。イイデザインの証拠ですね。(パンツは一考の余地あり)
 そして、「どうせ誰がやってもボロクソに言われるんだから自分がやりたかった」と語った山崎監督の男前気質はよかったねえ。

 もうひとつ
シティーハンター in Seoul
ここを読んでくださる方には韓流ドラマをこれから観ようなんて方はいないと思うんで書いちゃうけど、キム・ヨンジュ検事は死ななくても良かったのでは。
 最終回手前で死ぬのはハナシ的にもよくないし視聴率的にも効果薄いのではないだろうか。
正義を貫く主要登場人物が悪の手で志半ばに葬られる、てのも精神道徳的にいかがかと思います。
もう、一気に醒めちゃったよ…。最後のユンソンも「思い出の中」みたいな描き方だったし…。

 さて、共に言えるのが「死んでナンボ」という安い演出。
ハッピーエンダーなので「死」という単純で効果を上げるこの行為が大嫌いです。
「不死」よりはいいかも知れないが…モノを創る人間として言えば最低レベル。

 ヤマチョで言えば、原作では主要キャラクターの中で沖田艦長だけが死んでいきます、確か。
沖田艦長は地球を守るために長い間戦っており、ようやくその使命が終わったことで古代たち、新しい世代に引き継ぐわけです。
これは「意味のある死」の描き方であり、作者の松本零士さんは物事の本質を理解している方だと思うんですよ。
 しかし今回の実写版やアニメ「さらば」の特攻精神てのは人の死を安く派手に散らすだけで何の重みも無いわけです。
敵の攻撃を防ぐ盾となるだとか、自分を犠牲にして…とか、一見尊いのだけれど、実は「敵が強くて苦戦してるんだよ。」ということを何のひねりもなく表現した、薄っぺらい演出に過ぎないのです。

 皆さんは死人が多いほど燃える派でしょうか…。
それは作品に対して入り込めていないことじゃないのかな。創りバナシの中だから誰が死んでもいいと思っとるからでしょう。
 僕はできるだけ、皆生き残る方がいいと思うなあ!
役者さんやスタッフさんは「登場人物たち」を真剣に創りあげています。
だから、少なからず感情移入できないのは創り手側がよほど下手なのか、もしくは受け取り側の感情の一部が欠けとるのかもね。

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