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20170326

仮面ライダーのハナシ

本郷猛改造人間である。
彼を
改造したショッカーは、世界制覇を企む悪の秘密結社である。仮面ライダーは人間の自由のために、ショッカー
と闘うのだ!  (テレビドラマより)


  日本の漫画界の礎を築いたひとり、石森(石ノ森)章太郎さんが生み出した傑作「仮面ライダー」は1971年に連載が開始されました。
ずい分昔に復刻版を読んだきりですが、原作は単純な物語ではなく、社会風刺を盛り込んだり、ショッカーが単純悪ではなかったり(一般人を拉致して改造するのは十分悪いんだけど)、本郷猛が死闘の挙句脳みそだけになったりと(この辺、テレビの事情~2号への交代劇~に寄ったのかな)、けして痛快では無いハナシだったと記憶しています。あの格好も顔に残った傷を隠すヘルメット。そして強化スーツ着用でした。
 
 等身大の(テレビ)変身ヒーローとして大ブームとなった仮面ライダーですが、ウルトラマン」に始まる巨大ヒーローもの、また「マジンガーZ」などのロボットマンガブームの台頭と共に、人気が下火になってきます。以降、テレビでは様々な試みで延命していきました。
「ストロンガー」で一旦終了したものの、いくつかの単発を経て、2000年には「クウガ」で復活。平成ライダーシリーズが始まります。

 平成シリーズは本来の対象であるお子さんはもちろん、ヒネた大人や、お母さんをも虜にして大きな市場になりました。
 
『練られたストーリー(設定)』
 改造人間同士の対決であった単純構造から、大人でも唸るような設定を盛り込みました。但し、コレお子さんが見て面白いのかな・・・と思います。何だかデザインは子供向け、ハナシは大人向けでチグハグです。昔のアメコミの、パンツはいてるのにシリアスな感じと一緒ですね。
 「響鬼」は大人(ライダー)が子供を導く、またはその姿が成長の糧になるような誠に正しい位置づけでありましたが、他は主人公がひねくれてたり自分のために戦ったりと視聴者の一部であるヒネた大人そのものが主人公であった作品が目立ちます。

『美形俳優の採用』
 いまや「ライダー」と「戦隊」が俳優デビューの登竜門となりました。若いお母さんたちはヌイグルミではなく、変身前の姿目当てで視聴されている方が多いとのこと。一般ドラマなどを見てても「えっこの子もライダー(戦隊)か!」としょっちゅう驚かせ(なかば呆れさせ)られます。

『デザインは二の次』
 一流アーティストを起用した敵側は秀逸なデザインが多いのに、玩具メーカーで用意した主人公は大概不細工。コレイイね!と思ったのは「響鬼」「キバ」・・・くらい?
これは無いでしょうと思った「555」は、S.I.C.シリーズで安藤賢司さんにより立体化され、ものすごくカッコ良くなりました。人が入る制約があるとはいえ、始めからこのようになっていたら・・・。
また構造上の特徴でいつも気になるのが、硬質パンツと胸のプロテクター。何だかモッサリとしたシルエットで本当にカッコ悪い。

 僕が観たのは「アギト」の終盤からで、主人公が温厚な青年であったこと以外覚えていません。本当にチラ見でした。
 そのまま「龍騎」を観始めて、こちらはほぼ全話を観ました。確か最終回1本前を見忘れて「あ~っ!!」とした覚えがあります(笑)。そこそこ面白かったし、夜の時間帯にスペシャル企画が放送され、結末が視聴者投票で変わるという試みもされたかと思います。
 続く「555」では後半に時々見た程度。でも話(設定)自体は面白そうだったので機会があれば観たいなと思っています。

 そして、仮面ライダー響鬼」であります。
先に述べたように、大人と子供の正しい位置関係を描いたものとして、とても好きな作品です。
主人公のデザインも、従来の平成シリーズでは(初代)仮面ライダーの呪いなのか軒並み丸い目、全く意味の無い丸い目であったのに対し、隈取にした点も良かった。
残念なのは当時の製作時間やソフトではオーハーワークだったであろうCG映像。また制作費不足(これは玩具が売れなかったらしいのでいたし方ない。慈善事業じゃないからね)、スタッフさんの交替劇があったりとも言われますが、途中からグタグダになってしまったところ。


師匠「朱鬼」。本編では男用スーツの流用なので色気ゼロであった。
また、変身忍者嵐を模した鬼の鎧もデザイン的に相当ダサかった。

 その後「カブト」「キバ」「電王」までは観ましたが以降は打ち止め。ライダーのデザインが不細工だったり演技があまりにもつたなかったりですっかり冷めてしまったのでありました。そもそも大人が観るものではないし、子供が見て楽しければよいとは思うのですが・・・
 今更ガタガタ言うことではありませんが、バッタをモチーフに単純な線で構成された素晴らしいデザインは成田亨さんが生み出した「ウルトラマン」と共に、世界に誇るものです。
 現在に続くライダーシリーズも、玩具メーカーが放送期間だけ商品を売るだけの道具にせず、子供たちの美的感覚が養えて大人になってもカッコイイと思い出せるような仕事をしていただきたいですね。

「仮面ライダー」のカンムリも、もう外して良いのです。ガンダムもね。

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