先日テレビ放映された紀里谷和明監督作「GOEMON」を観ました。
前作「CASSHERN」は初見こそ?でしたが、テレビ放送を観たときは、なかなか良い作品だと思いましたよ。みんな死ぬとか、無に帰する類のラストは好きではありませんが。
「GOEMON」の魅力はその世界観にあります。「洋」を取り込んだ「和」、近代の公共事業建築物をはじめ、全て「西洋化」して満足するという自治体や設計屋たちの単純でバカな思想とは違い、あくまでも「和」を基本とする(元々中国文化ですが…)姿勢はとても好感が持てます。僕好みの世界観です。
特に前半の遊郭シーン、美しいではありませんか!
江口洋介さんの口角の上がり方も良いし(笑)、ダンサーや戸田恵理香さん、佐藤恵理子さんも綺麗です。
ただ、CGを多用しすぎて全編通して薄っぺらな画面になってしまったように感じました。
ハレーション気味のCGで構築した画面創りは紀里谷監督の真骨頂ではありますが、使いすぎだと思いました。昨今の映画でもCGが主流でが、実写の存在感には遠く及びません。なんといったら良いのか、「重さ」を感じないのです。ある程度のCGは効果的だし、昔の「トロン」のようにデジタル世界が舞台であればCGも有効だと思いますが…。あとゲームとかね。
アクションも早すぎて観客を置いてけぼりにするような、自己満足な見せ方となってしまったのは残念。
後半のシナリオもいまひとつ。普段100メートルくらいジャンプできる五右衛門が才蔵処刑を食い止められなかったりとツメの甘さが目立ちました。役者陣の魅力を引き出した画面創りをされていると思いましたが、総評としてはイマイチ。
人を殺して盛り上げる作品て「娯楽作品」とは言えないのではないでしょうか。
時代劇の楽しさというのは主役が敵を斬り殺すとこにもあるのだけれど、斬られ役が観客に配慮して生々しくならないように気を使っていますよね。
このやり方も作品に合う合わないがありますが、「GOEMON」でも赤黒い血飛沫にしていました。「人を殺して」というのは観客が感情移入する側の人間のこと。才蔵と家族や前半の子(そういえばあの子、何だったの?次回作の五右衛門?)のお母さんは、殺して欲しくなかったなあ。生粋のハッピーエンダーとしては、最初と同じ絶景絶景で終わればDVD買ってもよかったかも。
0 件のコメント:
コメントを投稿