待ちに待った新作ドラマが放送されました。
…と言っても、実は池波作品に急速にのめり込んだのはここ数年のことで、藤田まこと版すら一瞬も観ていないのでした。勿体無い人生を歩んできたものです。
さて、大好きな作品の実写化ということでキャストが発表された時点で気になっていましたが、
果たして不安は的中したのでした。
まずは、若手の役者さんの体型です。
平成生まれ…または80年代後半に生まれた皆さんは、スタイルが良すぎて着物が全く似合いません。
背が高いだけならまだしも、胸板が薄く狭い肩幅に加え腰の位置が高く痩せているため、洋装では抜群に格好良くても着物の「着せられてる感」の酷いこと。
今回は斎藤工さんと杏さん。特に杏さんは細すぎて痛々しい程でした。
貫地谷しほりさんは上手く着こなされていた…(けして昔風の体型、と言っているのではありません)。
日本人の体型が変わってしまった現在、もしかしたら時代劇は衰退の危機にあるのかもしれません。いや、人気のある役者さんがそういう体型なだけで、まだまだ着物が似合う実力派俳優さんはたくさんいるハズ。
そして配役と演出。
演技力云々はプロの役者さんなので全く不満はありません。見てくれだけで言えば…
小兵衛は小柄なので北大路欣也さんは藤田まことさん同様、背が高すぎる部分が残念でした。お顔も少々イイ男すぎるような…。しかし時折見せる、威厳がある表情は流石です。
大治郎はやはり、背が高いだけではなく、ガッシリした体つきの役者さんが良かったと思います。ケイン・コスギさんとか侍ぽいよねえと思いますがいかが?
以前は渡部篤郎さんが演じられたとのことですが、ヒョロっとした大治郎ぽくて想像するだにいまふたつ。山口馬木也さんはいいよねえ。
ドラマ上、表情を豊かにする必要があったのかも知れませんが、朴念仁というより、ボサっとした演技もいまひとつ。白い歯を出して笑うのもいかがかと思う。
さわやか過ぎる笑顔を見せなければ、伊藤英明さんはぴったりかも。池波先生もお気に入りだったという、加藤剛さんに通ずる正統派の格好良さがありますね。
三冬については、原作を読んでまず浮かんだのは松下奈緒さん。最近では「梅ちゃん先生」で注目された木村文乃さんや、水沢エレナさんのような、目元が涼やかな感じか。
杏さんは美人の系統が違うし、「佐々木」姓の三冬は女性の表情は押さえて、男装の麗人といった風が良かったと思う。本作では表情もしゃべり方もおちゃっぴい過ぎて、最も原作のイメージから外れている気がしました。北大路欣也さんを少しでも小さく見せるための配役なのかも知れません。
他では、内野健太さんのトウが立った粂太郎も少々残念。
唯一、貫地谷しほりさんは全く違和感がありませんでした。田舎っぽい表情を出せる女優さんは堀北真希さんだけか思っていましたがなかなかどうして。
最後に元となったエピソードですが、久しぶりの新作ゆえ原作1巻をベースに短い時間で上手くまとめられていたと思います。
ただ、僕が最も好むのは第8巻「狂乱」です。人を救うことの難しさが描かれていて、心に響く…けれど今回のような単発で新しい視聴者に向けたハナシでは無いよなあ。
何にしても大好きな作品が映像化されるのは喜ばしいことだし、単発でも良いので時々製作していただけたら嬉しいです。
映像化については原作ファンの皆さんそれぞれに作品像があり、絶対文句言われるのでしょうが、原作を愛しているが故の意見なので我慢してください…。
もうひとつ、江戸文化の表現は本当に合っているのでしょうか…。間違ったまま後世に印象づけていない?
最後に、コミック化されているのも最近知りました。
とっつきやすいのは大島やすいちさんによる作品。原作のイメージを非常に丁寧に描かれています。ただ、手裏剣の名手である杉原秀の「蹄」は描かれていなかったのが残念。
さいとうたかをさんによる作品では、原作…池波先生が最初にイメージされたゲーリー・クーパー・・・通りの大治郎や若衆曲げの三冬が描かれています。
機会があればご覧ください。
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